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わたしは医療系の国家資格を持っています。

夜勤や手当のある専門職だったこともあり、新卒で働いた病院では
一般的なサラリーマンの平均年収よりも高水準のお給料をいただいており、
貯金も数百万円あったので、勤続5年目でマンションを買うつもりでした。

安定と社会的地位の保障された
医療職をしていた頃の生活

医療職をしていたころの暮らしはこんな感じ。

  • 年収450万円
  • 年に1回は旅行に行ける
  • 別に欲しくないのに周りの目を気にしてブランド物を買っていた
    というか買えた
  • 月謝2万の習い事をしていた
  • 業者さんに「先生」と呼ばれたり
    医師の先生方とお仕事をご一緒させていただいたり
    職業欄に「専門職」と書いたりするうちに
    偉くなったと身分違いの勘違いをしていた
  • お金のある人と結婚しなくても
    むしろ、人ひとりくらい養えるんじゃないかと思っていた
  • だけど、結婚したいと思わなかったので
    一人で贅沢に暮らそうと2LDKマンションを買おうとしていた

今思うと別にこのくらい大した高スペックとも言えないので
このくらいで天狗になっていた世界観の狭い過去の自分がお恥ずかしいですが
外の世界を知らない当時は「勝ち組」だと勘違いしていました。

が、マンションを買う目前で退職し
WEB制作の勉強をしながら社会勉強のため色々なアルバイトを渡り歩くようになります。

アルバイトを渡り歩き、ところどころ無職の期間もある今となっては
転職サイトに登録しようとしても、「紹介できる案件がありません」と断られます。
とはいえWEB制作の経験も浅いため、最低賃金なみのアシスタント業務ばかり。

すっかりわけあり履歴になって、誰でも応募できるアルバイト情報誌で見つけたお仕事をしているわけですが
給与水準は医療従事者をするよりも当然低いし、
仕事内容も医療職のほうがぶっちゃけラクでした。

現在のアルバイト収入

気になる収入ですが
現在は時給990円のアルバイトと、時給1100円のアルバイトを
半日ずつ掛け持ちしています。(2019年10月現在)

どちらも無保険、週20時間にギリギリ満たないくらいで働いているので
合計すると週40時間。
合計すると実労働時間はフルタイム勤務と同じくらいになります。

いわゆる「お茶汲みOL」と同水準

計算していただけるとおわかりかと思いますが、
それで月の手取りは合計14~15万くらい。

労働時間と給与水準的には、
残業のあまりない会社でお茶汲みOL(って今の時代いるのかな)や
一般事務とかの契約社員をするのと同じくらいかと思います。

労働が増えて収入が減った

一転した生活はというと、こんな感じでした。

  • 医療職時代に住んでいたマンションの家賃を払うだけでしんどい
    けど、お金がないから引っ越しもできない
  • 好きな服を買うためにカードを切って
    翌月支払いが足りずに借金
    (私服で外出する機会が増えて服も増えた)
  • お金が足りなくなる度に皿洗いやビールの売り子などの日雇いバイトをしていた
  • Wワークの日は8時半から23時まで仕事
  • だけど月収20万円はなかなか超えない

であれば、わざわざ定収入バイトなんかしないで
フルタイムで働くか医療従事者をすればいいじゃん!と思いますよね。
医療職はシフト制なので、概して残業もそんなに多くありませんし。

だけど、実際は今のほうが幸せだし、
生活にも充実感を感じています。

ではなぜ、お給料も良くてラクなのに医療のお仕事をしないのかというと、
高給もさることながら、医療の仕事をすることで失っているものが多い
と、6年間医療の仕事に従事していて感じたからです。

もちろん、医療の仕事に
やりがいや楽しみを見いだせている人のやる気を削いだり、
無理にやめろというつもりは全くありませんし
あくまで医療職を辞めて今は別の仕事をしているわたし個人の価値観ではありますが、
具体的に何が失われると感じたのか、書いていきますね。

社会的地位、安定、高水準の給与の医療職で
引き換えに失ったもの

休日が「スキルアップ(笑)」で潰れる

この記事を書いている現在は10月なのですが
ちょうどこのくらいの時期は、週末が毎週潰れていました。

スキルアップの勉強会やボランティア的なイベント、
義理で参加する学会などが毎週のようにあるのです。

もちろん、勤務ではありませんから日当は出ませんし
いくらか補助が出る場合もありますが自費の場合もあります。

補助が出るとはいえ、休日に勉強会の為に出て行かなければいけないことが
月に数回あり、多いシーズンは毎週末それがある。
細かいけれど、移動時間だって費やすわけです。

みんなが行くから休みにくいという義理的なものが多い

わたしは大学病院に勤務していたため、特別そういったイベントへの参加義務が多かったのもありますが
やはり技術職ということもあり、規模関係なく
小さな病院にお勤めの方も勉強会には積極的に参加されていました。

任意とは言え、上司が行くのであれば欠席しにくいですし
「みんな行くのに行かないなんてありえない」という謎の道連れ連帯感ができていて、
行かなければその後も「やる気がない社員」認定されます。

ぶっちゃけあんまり勉強にならない

肝心の内容はというと
本当に勉強になる勉強会は正直一握りで、形骸化したものがほとんど。

内容は専門外だけど、
同じ職場の人が講演するからみんなで応援しに行くような義理的なものだったり 毎年同じおじさん大御所演者が、
「もうそれ何回も聞いたよ…」という同じような内容を毎回しゃべっているものだったり。

わたしは人前で話すのが好きなので、
いずれ講師業もやりたいと思ってプレゼンなど張り切っていたのですが
年配の「お決まりのメンバー」が陣取っていたので、講師になれるのは早くて40歳だな…と気付いてしまいました。

つまり、40歳までの10数年は、いくら努力しようと
出世や講師などのニンジンをぶら下げられながら下働き。

その10数年があれば、
他の分野で0から何かを大成したほうが早いくらいですよね。
(よほど医療の仕事が好きでやりたいのなら別ですが)

スキルアップしても意味がない

ぶっちゃけ、勉強会に足しげく通って知識をつけても
現場でやることは変わりません

ちょっと見識がつくのはもちろん良いことですが
知らなくてもお仕事にも患者さんへのフィードバックにも全く違いが生まれないのです。

その「ちょっと」のために、全員で休日を潰す必要が本当にあるのか。
一人だけ代表して参加して、会議とかで概要を共有してくれた方が
時間もお金も浮くのにな…と思ったり。
学会や協会の良いカモですよね。

その知識は、役に立っているか

仕事って、還元してなんぼだと思うのです。

基礎研究や教育に携わっているであれば別かもしれませんが
患者さんや臨床に還元できるのものがないのに学ぶのは
趣味だとか、自己満足の域ではないかとわたしは常々疑問に思っていました。

自己研鑽、スキルアップという謳い文句の
搾取システム

「ブラック」という言葉で片付けるのは好きではありませんし
むしろ、医療業界は残業もそんなに多くないしホワイトな業界だと思いますが

「自己研鑽」だとか「スキルアップ」というプレッシャーをかけて
大して実にならない有料のセミナーや講習受講を促したり、
これはサービス業全般に言えることですが
「患者さんのため」「感謝される」「人の役に立つ」という建前のもと
必要以上にボランティア的な価値提供を求めたりと、
綺麗ごとにお金や良心・正義感を搾取されるような仕組みが多いです。

緩やかに下働き化する専門職

介護や保育業界で最近問題視されているように、
医療従事者、とくに裁量権がなく「医師の指示・監督の下」でしか動くことの許されていないコメディカルに関しては
地位がどんどん下がっていくのではないかと危惧しています。

というのも、専門職ともてはやされているわりには
よほどのゴッドハンドのような人や、ちょっとした有名人級にキャラが立つ人でもない限り
医療技術というのは基本的には標準化されたものであり、
突出することがむしろ「悪」であるため。

その根本的な構造に気がついたとき、
他人でも代替することのできる、昨日と同じことを続けながら
市場価値に見合わないプライドを積み上げていることに危機感を覚えたのでした。

年功序列が強く、出世が望めない

技術がマニュアル化され、飛びぬけた能力を発揮しにくく
ホスピタリティも、売上や業績などの可視化できる数字に反映されにくい性質上
昇給・昇格はほぼ年功序列です。

どれだけ率先して仕事をしようと、理不尽な上司に媚びようと
役職がつくのは10年先だと気付いた時から
医療職でのキャリアアップを諦めてFXなどの副収入に力を注ぐようになりました。

男尊女卑の価値観も強い。
誰からというと、患者さんから。

地味にストレスだったのが、男尊女卑の価値観でした。

一部の職種や科を除けば、医療現場は女性の比率が多いことがほとんどで
昇格などの職場環境自体は男尊女卑をあまり感じませんでしたが
では、どこからその認識があったかというと、患者さんからでした。

患者さんの多くは、ご高齢の方です。
今のような、女性が働いていて当たり前の社会ではなく、
女性は男性の補佐的な簡単な仕事をするのみ、結婚したら寿退社のような
いわゆる「腰掛け」で働くという昭和時代の価値観の方です。

女性は男性の補佐という先入観

昭和云々以前に職業的なイメージもあるのでしょうが
女性=看護師、男性=医師
と思いこまれることが多い。

わたしは男女比が3:7くらいのマイナーな技師をしていたのですが、
同じ技師であっても、男性は医師、女性は看護師と呼ばれるだけならまだしも
同じ施術をしていて、技量も変わらないはずなのに
実際に同じ職種なのに男性の技師が登場すると態度が豹変して媚びだす患者さんがとても多かったです。

「あの看護師さん(自分)より、先生の方が安心ね」などと嫌味を言う患者さんも中にはいて
当時は男性顔負けに上を目指して仕事していたので、めちゃくちゃ悔しかったのを覚えています。

「前は男性だったけど、あなたがやるの?(大丈夫?!)」と驚かれたことも多かったですが
施術後に「若い女性なのにあんたやるねぇ!」って言ってもらえた時は嬉しかったですけれどね。

「やさしさ」に付加価値がつかない

ぶっちゃけ一番の理由は、
医学は好きだけど、医療は好きになれなかったことなのですが

医療の収益モデルはあくまで保険点数ベースですから
人のぬくもりだとか思いやりだとかやりがいだとか、耳障りの良い言葉が並べられますが
気を利かせたところでそんなものはあくまで医療者の善意というか
ボランティア的な位置づけで片付けられてしまいます。

どの業界でも過剰なサービスを求めるわがままな顧客はいると思いますが
特に、医療業界に関しては「医療従事者=なんでも優しく受け止めてくれる」という先入観を持った人は多いので
尚更赤ちゃんのようにわがままを言う人の割合は多いように思いました。

患者を選べない

それから、日本は国民皆保険で誰でも医療機関を受診する権利がありますから
よほどVIP御用達の高級なクリニックでもない限り、あらゆる人が来ます。

中には認知機能や自己抑制機能が落ちている方やモラルの低い人も来ますから
技術云々以前に、感情任せにとにかく理不尽に怒鳴るクレーマーもいます。

医療者も人間です。
怒鳴ったりわがままを言って不快感を与えた人に自分の体を診てもらうって
怖くないのかなぁと思うのですけれどね…

患者を選べたらいいのに…と常々思っていたことが
今の好きな人とだけ付き合うライフスタイルやブランディングにもつながっているので
貴重な経験になったことは確かですけれどね。

本当に優しい人は潰れる

「人に感謝される」「ありがとうと言われる」ともてはやされがちな医療ですが
ありがとうと言われるために仕事をしているわけではなくて、
大前提として、生活するためのお金をもらうためにしていますから
善意でなんでもやってしまう人ほど、言ってしまえば損をしやすい職です。

良いことをしている気分にさせられて搾取されていないか
お仕事と善意の境界線はしっかり持っておきたいですね。

保守的な考えの人が圧倒的大多数で
会話がつまらない

医学部というと、入試レベルの難易度は概して他の学部よりも高く
「頭の良い人」として一目置かれる存在になりがちですが、
実は、医療従事者の生活圏や見識ってものすごく狭いのです。

大学や専門学校に入ると、その資格を目指した専門的な勉強をして
周りにいる人も同じか類似の医療系の学生で固められます。
よほどサークルやバイトなど、外の世界を持っている人でもない限り
世界観が限定され、見識がものすごく狭くなります。

大抵の医療職は養成課程で病院実習があったりするので
外の活動と言っても、そんなに時間を多くは割けません。

真面目で安定志向の人がほとんど

さらに、医療系に就職する人って
「とりあえず手に職をつけたい」という、安定志向の人が多い。

人間関係が限定されるうえ、
それを構成する人が真面目で安定志向の人がほとんどなので
会話は勉強した医学の内容だったり、話題は患者さんの話に終始したり
飲み会が患者さんの病状をああでもないこうでもないという
「カンファレンス」と化したり…と
拡がりのない、閉鎖的でつまらない話題だったりします。

「悪いものを見つけて正す」という職業柄
揚げ足取りが多く、例外を許さない排他的

職業柄、細かい人や理屈っぽい人原因究明が得意な人も多く
そもそも医療って業種に差はあれど
「悪いもの=普通じゃないものを見つけて正す」仕事です。

冗談を言ってボケも真面目に訂正されたり、正論で締めくくる癖があったり
マイノリティを許容する気持ちが乏しい人が多かったりと
会話していてなんだか窮屈だなぁと思うことが多かったです。

人生の勝ち組と勘違いしている人

しかも、ちょっと厄介なのが
医療職を目指すの人って、正義感が強かったり、頭が良い人が多く
学級委員タイプのエリートも多い。

それゆえ「自分は博識だ」というセルフイメージを持ったまま、自分は何でも知っていると勘違いしてしまっているような、
医療の外の世界をまったく知らない、井の中の偏った世界観でどこか人を見下しているようなプライドの高い医療従事者って結構多いし、お恥ずかしいながら自分もそうでした。

あくまで医療という一分野のプロ、というだけ

言い換えると「頭も良いし、資格も取ったし、人生上がり」気分の人が多い。
で、勉強会に参加して自分磨きをした気になっている。

頭が良いのは事実かもしれませんが、
外の世界を知らない、新しいものを求めず現状にしがみついているつまらない人が多いなと感じていました。

人生は、普段接する人の質で決まる

こんなの無視すればいい、というのは至極まっとうな正論ですが
人生って、普段接する人や過ごす場所で決まるというか、
日常こそが本番だとわたしは思っています。

これは医療に限った話ではありませんが
事実、起きている時間の8割を過ごす仕事でこういう人とばかり接していて
数ヶ月に一度、現実逃避の旅行をしたくらいで
ライフステージも満足度も、変わるわけがありません。

なにより、自分とは常識が違う人と会話して、
大して憧れてもいない人の指示を毎日聞いて従って
微弱なストレスを感じ続けるのって、無駄だと思っていて。

それなら手っ取り早く日常を理想の環境に少しでも近づけて
ベースの満足度を上げたほうが、自分のためだと思うのです。

オシャレができない

オフィスでも華美な恰好はダメでしょうが
ネックレスやピアス、インナーなどでさりげないお洒落をしたりするじゃないですか。

医療は人前に出るサービス業のうえ、清潔感も問われますから
派手なメイクやヘアカラーはもちろんNG。
ネイルやピアスなどのアクセサリーもNG。

元々派手なファッションが大好きなので、
身なりの制約があるだけでも、自分が自分じゃないようできつかったです。

医療従事者に未婚女性が多い理由

わたしの勤めていた病院では
男性は年齢順に結婚して言っていましたが
女性の先輩は美人なのに独身の方ばかりでした。

どうやらこれは、自分のいた病院だけではないらしく
婚活コンサルをされている方のエピソードでは
「医療職をしている人は外見に無頓着な人が多い」よう。

わたしもこれには同感で、
ある意味では仕方ないのですが
本当に化粧っ気のない人やすっぴんの人は多いです。

おしゃれやメイクはNGなのでおしゃれする機会がない

美容クリニックでもない限り
スニーカーに作業着のような白衣で働くわけですし、どうせ体液などで汚れるし
患者さんとの距離も近い分、セクハラを未然に防ぐという意味でも
質素でいることが合理的なのです。

周りもみんなそんな格好だし、普段接するのはお年寄りばっかりだから
本当にわざわざおしゃれする機会も必要性もない。

おしゃれ着の一着も持っていないため、
職場の忘年会もスーツか結婚式用ドレスを着回している人が多く
実際、副業でも色々な職種の忘年会を見てきましたが、
医療職の女性は大学生のようなあか抜けない身なりの人がとても多いです。

医療業界の先行きへの危機感

誤解を恐れず言うと、
わたしが医療従事者をしていて一番危機感を感じたのは
頭を使わないことでした。

もちろん症例を診て自分なりに考察しますので、医学知識は必要です。
研究をしたり、論文を読んだりということも求められました。

人の体を扱う仕事。
一歩間違えれば傷害にもなりかねませんから、凄まじい集中力も必要です。
「頭を使わない」とは、思考停止して上の空で仕事をしているという意味では決してありません。

しかし、それって自分にしか思いつかないようなものでもなく
正解のあるものであり、属人性の極めて低いもの。
技術の習得は必要であれ、誰がやっても同じ品質を担保できなければいけないものです。

医療の機器操作は難しくてはいけない

医療機器も、操作ミスや処置の遅れがあっては困りますから
緊急時にテンパっても直感的に操作できるように
ものすごく簡単に使えるように設計してあります。

いわゆる知恵を使って「考える」場面が全然ないし、
むしろ、考えてはいけない。
自分で考えてオリジナルを出してはいけない環境なのです。

わたしはよく手技を自己流だったり臨機応変にアレンジしては怒られていました。苦笑

おまけに実際の業務って、頭を使う場面よりも
車いすやストレッチャーを押したり、お年寄りの話し相手になったり、
道案内をしたり、クレーマーの対応をしたり、
そんな単純労働的なことをしている時間のほうが圧倒的に多い。

ぶっちゃけこれ↑だけなら、無資格でも小学生でもできます。

同じことの繰り返し

毎日毎日に何十回もおんなじテンプレートを話していたので
駅のアナウンスのように人が来ると自動的にしゃべる機械でも置いておけば人件費が浮くのにとか、
自分の声を録音して都度流しちゃダメかなぁとか本気で思っていました。
コンビニや飲食バイトのほうが、よほど頭を使うと個人的には思います。

言い換えると、そんな単純労働で高水準のお給料がいただけるなんてラッキーな話ですが、
私は耐えられませんでした。

医療を施す側は、カルピスを薄める水的存在

源流に近いものや、頭を使って思考や考察が必要なものほど労働価値が高いということは
これを読んで下さっている方に説明は不要ではないかと思います。

わかりやすいのでホリエモンさんの表現をお借りすると
「カルピスの原液」のほうが、「カルピスを薄める水」よりも価値が高いということですね。

意思決定権のある医師や歯科医師、研究職であれば別かもしれませんが
医療職というのは、既に確立された医療を、ルールに沿って施すお仕事。

言い換えると、医療従事者はルール通りのことをやっているだけで
それは、確立された医療という源流を薄める「水」でしかない。

働きながら、わたしは毎日そんな虚しさと悔しさを感じていました。

社会常識が身につかない

さらに、医療従事者って
ビジネスマナーを全く知らない人が多いです。

名刺ひとつ持っていないし、
患者さんともため口で話す人もいるくらいフランクさが求められる仕事ですから
ビジネス敬語すらまともに話せない人も少なくありません。
技術と人柄があればオッケーのような空気感。

まぁ、みんなそういう人ばかりですから
言ってしまえばその中で生活する分には別に不自由しないのですが
大人としてなんか恥ずかしいなと、なんとなく危機感を持っていました。

事実、その後の転職活動や社内での立ち居振る舞いなどはすごく戸惑いました。
専門職という職業柄、就活らしい就活もあまりしたことがなかったので
医療業界の外に出てはじめて、自分のいた世界の狭さに驚きました。

医療職を辞めてからわたしがホテル業や旅館などでアルバイトをしたのは、
もっときちんとしたマナーを学びたい、そんな理由からでもあります。

持ち上げられて満足ですか?

コメディカルであっても国家資格保持者で、「先生」と呼ばれて持ち上げられたりするので
つい勘違いしてしまったりプライドだけ高い人も多いですが…

「資格を持っているから一生安泰」という平成的な安定志向に洗脳されたまま、
ゆっくり沈みゆく船に乗っているような、そんな気さえしていた。

まわりから持ち上げられているから、自分たちは勝ち組だと思っていて
あまり危機感を感じないのでしょうね。

その直感は正しかったと、 WEB業界に足を踏み入れてみた今でも思っていて
現場で働く人よりも、医療システムを開発する方が有益で将来性も高い仕事だと思うし
事実、そういうお仕事をしている人の方が知恵を使っているし、お給料も桁違いだったりします。
(医療業界は資格手当や夜勤がある分、下限の水準は高いですが)

まとめ:安定と引き換えに失ったもの

まとめると、安定や社会的地位と引き換えに失ったのは

  • 休日
  • 若さという有限の資産
  • 成長の機会

というところでしょうか。

一番厄介なのは、「勉強しているから成長している」と錯覚しながら
標準化を刷り込まれ、本当の意味での成長の機会と個性を緩やかに失っていたことだとわたしは感じます。

仕事に成長を求めず、ただお金を稼ぐために消化試合として働くのであれば、
むしろ心身の負荷もそれほど高くなく、良い環境だと思うんです。
また、仕事の実績が本人の信用として直接積みあがる可能性のある
開業予定の医師や歯科医師の先生であれば、話はまったく別です。

ですが、若い人やこれからの可能性を模索していきたい、
自分の価値を向上していきたい人にとって、コメディカルという下働きは
働きながら徐々に思考停止し、成長の芽を摘み取られてしまいかねません。
(もちろん、本人の働きかけや心がけにもよりますけれどね)

「正解」は世の中の状況次第で変わるもの

何が言いたいかというと、
世間一般の評価が絶対的なものだと思って委ねていると
この先ちょっと危ないかもしれない、ということ。

わたしは少なくとも医療職を続けた末の自分の未来に
危機感と虚しさを感じて離職しました。

バブルが弾け、不況が続いた平成時代は確かに、
資格を取って、雇用の安定が保証されている仕事をすることが正解だったかもしれません。
しかもわたしも短期的には、離職したのち貧乏生活を送っています。

ですが、今はその平成時代ではありません。
世の中の状況や生きがいが変わりゆく中、一昔前の常識は沈みゆく船かもしれません。

過去に完成された模範解答を盲目的に信じているのではなくて
令和の今にマッチした幸せを考えて追い求めていきたいですよね。

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