公開日: 2021/08/13  最終更新日: 2021/09/02

わたしは観光地でもある地方都市に住んでいます。

どこも行くところがないので、最近は某マッチングアプリをやっているのですが
「8/15まで旅行で○○に来ています。遊びましょう!」
「帰省してます!」という人があまりにも多いことに
驚くを通り越して呆れかえりました。

もちろん会いませんが。

この時期に、旅先でアプリやる?!

出張先や旅先で出会いや遊び相手を求めるのは
マッチングアプリ本来の使い方としては、普通の使い方でしょう。

そもそもわたしもワーケーションしているので、
人様に文句を言える立場ではありません。

「カフェで仕事は落ち着かない」人目が気になる繊細人間がホテルのデイユースでテレワークしてみたら最高だった

むしろ、蜜を避けてエチケットを守って旅行は賛成派です。

あえて人混みに出て
「ウイルスを運ぶ」意図がわからない

自然な出会いなんてほとんどないから
マッチングアプリを使って出会いを探すのは、わかるんです。
普段住む場所でなら。

だけど、どう贔屓目に見てもさすがに
オリンピック後かつお盆という、人が一斉に動くこの時期に
旅行や帰省をして、しかも、感染リスクの高い飲み屋で不特定多数の現地の人と交流するというのは
旅先(の住民)にウイルスをまき散らす行為に等しいんじゃないか…と思ってしまいます。

おそらくそういう人は、一人だけと会うとは限らず
複数の人と会う可能性も少なくないでしょうし。
また、それに応じて会う人も然り。

本人が仮に陰性で元気だったとしても、
呼気や衣類に少量のウイルスが付着していることは全然あり得ますからね。

そのことをなにも考えないで、自分が楽しむことしか見えていないのか、
それとも、考えたうえで「あえて」の行動なのか
(自粛限界、自分だけが自粛してもどうせ無駄、など)
彼らに聞いてみたいものです…

さすがにわたしが直接聞いたらただの説教おばさんなので
角が立たないように、アプリで匿名アンケートとかやってくれないかなぁ。

観光地の終わらない自粛

観光地の地元民は、
いくら注意を払って営業活動をしたり、慎ましく自粛していても
外からの観光客がウイルスを持ち込めば、その努力は水の泡になります。

しかも、あたかもそこの地域住民が悪者かのように
その都度また時短営業や自粛を強いられ、医療は逼迫し
キャンペーンから除外されたり、来訪をお断りされる。
これまでも、きっとこれからもその繰り返しでしょう。

責めるべきは若者ではない

とはいっても、
彼ら(女性も含め)を「悪」とするのは違うと思うし
この記事は、彼らを責める主旨で書いたのではありません。

そもそも、彼らは「悪」ではないし、
パンデミック対策が「旅行してはいけない社会」「外出に罪悪感を抱かせる社会」というのは、本質的に間違っている。

妙齢のおばさんでも、人生の旬を自粛で無駄にしたくない気持ちはわかるつもりですし
実際、自粛を1年もやっていても、一向に収束していないのが現状ですからね。

悪者探し・揚げ足取りするのは
日本人の悪い癖

日本人はすぐ他人を責めるし、犯人捜しをしたがります。

自粛を求める自治体 vs 経済再開を求める飲食店や若者
みたいな図式になっていますが…
問題の根源ってそこじゃないと、わたしは思うんです。

「医療過保護」がもたらした甘え

自粛なんて誰もしたくないし、経済だって再開したほうがいい。

じゃあ何が問題か、何を変えるべきか、
どうして平気で旅先に「拡散」しに来ちゃう人がこんなに多いのかというと
結局、冒頭の旅先や帰省先でマッチングアプリをする彼ら彼女らが
「いざとなれば病院に行けばなんとかしてくれる」と考えていることだと思います。

誰でも医療が受けられるしくみの代償

日本は国民皆保険制度があり、
誰でも医療が安く受けられます。

治療費が高額の病気で、安くない方もいるでしょうが、
それでも多くの場合は、本来の医療費の半分以下の自己負担額で受診することができます。

死ぬのが難しい国で
死を想像するほうが難しい

そのお陰で、平均寿命は世界でトップクラス、
質の高い医療が受けられ、何かあると医療者側や保護者(介護する人や家族、行政など)の過失になる。

そんな国では、むしろ死ぬ方が難しいくらいで
言い換えると「死なせてくれない国」でもあります。

そんな、死を忘れた「医療過保護」な国で
「死ぬかもしれない」危機感を抱くほうが、難しいのではないでしょうか。

これは、一人一人の心がけが甘いというよりは、必然のこと。

「いつでも受けられる」が人を甘やかす

「コンビニ受診」という言葉も一時期話題になりましたが
人は、黙っていても当たり前に与えられることに慣れてしまうと
感謝しなくなり、ふんぞり返るようになります。

湯水のごとく医療従事者の時間と良心を平気で奪い、
期待通りに動かないと文句を言い、怒鳴り散らす。

医療従事者であるわたし自身(コロナ診療には関与していませんが)
現場で医療職をしていて一番驚いたのが、具体的には述べませんが
自分で稼いだお金で医療費を負担していない人が、一番傲慢だったことでした。
(もちろんすべての人が、という極論を言うつもりはありませんし
働くことが難しい方を責めるつもりはありません)

患者が満足していないのは
あって当たり前だと思っているから

現に、日本の医療水準は世界でもトップレベルにもかかわらず
患者満足度は低いというデータもあります。

おまけに、ホスピタリティだの寄り添いだの
本来の医療ではない付加価値まで、当たり前のように医療従事者に求める始末。

こういうの↑ね。

良識の範囲で人当たりは気を付けていますが
縁も恩もない見知らぬわがままな人に、愛やら笑顔やら寄り添いやら求められるの、うんざりなんですよ。
愛が欲しいなら、キャバクラやホストクラブで「買って」くれ。

過剰なインフラは自主性を奪う

こういう「いざとなれば病院がなんとかしてくれる」
「医療従事者は至れり尽くせりするもの」という甘えって、
一人ひとりの意識が悪いんじゃなくて、もはや
「国民を甘やかす仕組み」が自律性を奪っていると言っても過言ではないと思うのです。

さらに言うと、
毎月何万円も社会保険料という名のサブスクを納めている健康な若者より
「もらっている」割合のほうが多い高齢者が優先され厚遇されている現状を見ると
もはや、「いつでも受けられる国民皆保険」は機能しているとは言いにくいですよね…

もうやめようよ。
お金も礼儀も払わない人に、優しさを安売りするの。
というか、わたしはやめました。

どうして医療だけは、いつまでたっても現代の資本主義から除外され「例外視」されるのでしょう。

危機感があれば
自ずと自己管理意識が生まれる

医療費が高額な海外では、
検査や受診ができず亡くなられた方の遺体が、
まるでモノのごとく敷き詰められて埋葬されている国もあります。

それが良いとは言いませんが、
もし仮に、自分がそうなるかもしれない、相手にそうさせてしまうかもしれないと思えば
悠長に混み合うお盆に旅行して、旅先で見知らぬ異性と飲みに行くなんて、できないのではないでしょうか。

いくら感染者が増えているだの、医療がひっ迫しているだの訴えたところで、
医療を受けられて当たり前と思っている人に自主的な自粛を求めようにも
無理があるのかもしれませんよね。

医療に甘やかされる国民もだけど
医療従事者も甘やかしすぎ

まぁ、わたしが書いたところでどうなる、というわけでもないでしょうし
残念ながら、この文章が収束に寄与するとは思いませんが…

最後に、
医療従事者も甘やかしすぎ。という提言をして終わりたいと思います。

一度医療業界を離職して、片足だけまた残している立場としては、
医療従事者側も言いなりになりすぎじゃないか、と。

あまりに理不尽すぎる仕組みなのに
どうして抵抗しないんだろう、できないんだろうと、不憫に思います。

まじめで責任感が強い医療従事者だからこそでしょうが、
仕事だからとか、来た患者さんは受け入れるしかないからとか、それらしい理由はあるでしょうが
いつまでそこを逆手に取られて都合よく利用され続けるんだろうって。

せいぜい、辞める同僚といがみ合ったり、退職を受け入れなかったり
仲間内でつぶし合っているのでは、向けるべき矛先が全然違うし
医療者は医療者で、何やってんだろ。と思ってしまいます。

従順にまじめに従っている限りは
誰も察して先回りなんてしてくれませんからね…

ま、観光地から脱出しきれず
ここにボヤくしかできないわたしも、五十歩百歩ですが。

結論:断ち切るべきは根深い共依存

結局、この記事で言いたかったのは
根本として甘えを作ってしまう「しくみ」をなんとかしないと
意識も未来も変わらないのではないか、という提言でした。

医療を湯水のようなインフラとして扱うことの限界を
コロナウィルスが教えてくれているのかもしれません。

命は自分で守るもの

本来、命って
誰かに保証してもらうものではなく、自分で管理して守るものです。
その意識を、わたしたち日本人は忘れてしまっているんじゃないかな。

医療従事者が感染や過労や自殺でバタバタ倒れたら、みんなどうするんだろうね。
それでもなお、「医療従事者ちゃんと仕事しろ!」って責めるか、
「やりがいのある仕事で社会貢献!」って求人でも打つのかしらね。

※本記事は、あくまで一個人の意見です。
中には気分を害される方もいらっしゃることをお詫び申し上げます。

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